離島振興の基本となる離島振興法の一部を改正する法律は、本年11月18日に可決成立し、28日に公布されたが、主な改正内容はどのようになっているのか。
7: 【
地域振興室長】
離島振興法の主な改正内容について、1点目として、法の目的に、事業を実施する等に当たっては、離島と継続的な関係を有する島外の人材も活用しつつ行うべきであることが明記された。2点目として、新たに都道府県の責務規定が設けられた。3点目として、離島振興計画に定める事項として、計画の目標及び計画の達成状況の評価に関する事項が追加されるとともに、産業振興促進事項が新設された。4点目として、国及び都道府県が配慮する事項として、遠隔医療の実施やドローンの活用、場所に制約されない働き方の普及、高齢者の就業促進、空き家の活用、遠隔教育、感染症等の対応などの規定が追加された。
8: 【
市川英男委員】
離島振興法で県は離島振興計画を定めるよう努めるものとされており、本県ではこれまで7次にわたって策定し、離島振興の取組を進めてきた。現行の第7期の計画も本年度末までとなっており、新たな計画を策定する必要があるが、今後どのように策定作業を進めるのか。
9: 【
地域振興室長】
離島振興法では、都道府県が離島振興計画を策定するに当たっては、離島振興対策実施地域を有する市町村に対して、当該市町村に係る離島振興計画の案を作成し都道府県に提出するよう求めなければならないとされており、都道府県は市町村から提出を受けた案の内容をできる限り反映するよう努めるものとされている。
現行の離島振興計画の期限である本年度末までに新たな計画を策定するには、法改正を待っていては間に合わないと考え、本年8月に西尾市及び南知多町と計画策定に係る会議を開催し、準備を始めた。
現在は、西尾市及び南知多町が作成した計画案を基に、特にこの改正法で新たに配慮が必要となった事項について市町と積極的に意見交換を行い、また県の関係局の意見も聞きながら、県計画の作成を鋭意進めている。
一方、離島振興法では、都道府県が計画を策定するに当たり、国が定める離島振興基本方針に基づく必要もあるが、この基本方針がまだ国から示されていない。
離島振興法の改正により、産業振興促進事項など新たに盛り込むこととなった項目や、ドローンの活用など地方公共団体で配慮するよう求められた事項もあることから、今後、国の基本方針が示され次第、市町とも情報を共有して、現時点で想定していない記述がある場合には、計画にどのように盛り込んでいくのか検討していく。
本年度末までに計画を策定するためには、来年2月上旬にパブリックコメントを実施する必要があるので、そこを目指して精力的に作業を進めていく。
10: 【
市川英男委員】
本県の離島は、佐久島、日間賀島、篠島の3島であるが、直近である2020年の国勢調査では、佐久島の人口は196人で、高齢化率は55.4パーセント、日間賀島の人口は1,716人で、高齢化率は36.5パーセント、篠島の人口は1,518人で、高齢化率は34.5パーセントとなっており、大変厳しい状況である。
県の離島振興計画で、この3島を一つのくくりで扱うことでは不十分ではないかと考えるが、県としてどのように考えているのか。
11: 【
地域振興室長】
人口と高齢化率のみでなく、島の観光客を受け入れるホテル、旅館の宿泊収容人数についても、昨年3月現在で佐久島が205人、日間賀島が2,111人、篠島が956人となっている。
また、佐久島では、特産品の開発をしても、島内には加工や製造をするところがないなど、3島の中でもより厳しい状況にある。
一方、佐久島では、宿泊滞在型の農業体験施設クラインガルテンを有するほか、地域おこし協力隊の受入れや、島民が日常的に困っていることを島外のサポートメンバーを募集して手伝ってもらうプロジェクトであるSAKUTTOプロジェクトが実施されるなど、今回の離島振興法の改正で目的に追加された島外の人材活用に向けた動きが活発になっている。
このように、人口の動向、産業の状況、活用できる地域資源などが3島によって実情が大きく異なっている。今回策定する離島振興計画において、全ての項目をそれぞれの島ごとに記述することは難しいと考えているが、佐久島と日間賀島・篠島というような、二つのくくりにして、取組の方向性や目標などを新たに記述することを現在検討している。
12: 【
市川英男委員】
いまだ国の基本方針が示されない中で、本年度内に離島振興計画を策定しなければならない状況であるが、出来得る限り丁寧かつ慎重に策定作業を進めるよう強く要望する。
13: 【
朝倉浩一委員】
ジブリパークは、本年11月1日に開園して以降、平日や雨の日も多くの人でにぎわい、好調な出だしであると思うが、今後はジブリパークがにぎわうだけではなく、そのジブリパークの集客効果をいかに県内各地に広く波及できるかがより重要になる。
ジブリパークと連携した観光振興策については、観光コンベンション局を中心に各種の取組を進めていると認識しているが、政策企画局においても、例えば、昨年公表されたジブリパークのある愛知のロゴマークをうまく活用することで、各市町村や観光事業者と連携しながら、ジブリパークの来園者を県内各地への周遊観光や宿泊に誘導し、波及効果をできるだけ広く行き渡らせるよう取組を進めてほしい。
県内各地への周遊観光の促進に向けて、これまでにジブリパークのある愛知のロゴマークをどのように活用し、また、今後どのように活用していきたいと考えているのか。
14: 【
ジブリパーク推進課担当課長(調整)】
当該ロゴマークはジブリパークを本県全体で盛り上げるとともに、ジブリパーク開園を契機として、本県の魅力を県内外にさらに広くPRすることができるよう、書家でもある株式会社スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーに揮毫してもらい、昨年12月から活用している。
本県においては、観光コンベンション局とも連携し、本年1月に制作した観光動画、「風になって、遊ぼう。」の中で使用しているほか、ジブリパークのチケット販売サイト内に設けた、愛知の観光プログラムを紹介し、販売する特設サイトにおいてジブリパークのある愛知への旅というサイト名とともに使用するなど、ロゴが表すジブリパークのある愛知をキャッチコピーに、ジブリパーク来園者を県内各地への周遊観光や宿泊に誘導する取組を進めている。
当該ロゴマークの県内市町村や観光事業者における活用については、名刺やチラシ、ポスターに刷り込むなどの一般的な使用方法のほか、東三河地域の道の駅10駅において、記念品として当該ロゴマークを刷り込んだ記念切符を作り、無料配布したところ、朝から並ぶ人も出るほどの人気となり、東三河地域を周遊してもらうのに少なからず役立ったというユニークな事例も生まれている。
ほかにも、県内のホテル事業者が宿泊者向けの記念品として、ロゴマークを印刷した缶バッジを無料配布する事例などもあり、各市町村や観光事業者の創意工夫により県内各地への周遊観光の促進に当該ロゴマークを効果的に役立てられる余地があると感じている。
今後も県内各地への周遊観光や宿泊を促進できるよう、こうしたロゴマークのユニークな活用事例を各市町村や観光事業者に広く情報提供し、各主体の創意工夫を引き出しながら、ロゴマークの活用範囲をさらに広げていきたい。
15: 【
朝倉浩一委員】
ジブリパークの集客力を県内市町村に広く波及させるには、ジブリパークのある愛知のロゴマークの活用方法を一つとっても、企画力や構想力が必要だと思う。その実現のためには、株式会社スタジオジブリの協力も得ながら、県として、市町村や観光事業者の声によく耳を傾け、一緒になって効果的な取組を模索することが必要であると感じている。
世界のジブリファンが本県の各地域を訪れるきっかけとなること、そして、ジブリパークに人を集めるのではなく、県全体に人が集まる仕組みをつくることを要望する。
16: 【
平松利英委員】
先月、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律が成立して、県議会議員選挙の日程が来年3月31日に告示、4月9日が投開票と決まった。
県議会議員選挙に使用できる立札や看板について、どのようなものがあるのか。
17: 【
選挙管理委員会事務局次長】
県議会議員選挙における選挙運動用
文書図画のうち、立札、提灯及び看板の類いについては、公職選挙法第143条に規定されており、選挙事務所を表示するために使用するもの、選挙運動用自動車等に取り付けて使用するもの、個人演説会の開催中に使用するものの3種類である。
18: 【
平松利英委員】
昨年の衆議院議員総選挙の期間中に、個人演説会の会場ではない駅前において、小選挙区の候補者の氏名が書かれた三角形の表示を付けた大きなのぼりを見かけた。このような選挙運動に使用するのぼりの公職選挙法上の位置づけを伺う。
19: 【
選挙管理委員会事務局次長】
衆議院小選挙区、参議院選挙または都道府県知事の候補者や、衆議院候補者届出政党または衆議院名簿届出政党等については、公職選挙法第164条の2に基づく個人演説会等の会場の掲示についての特例が定められている。のぼりについては、恐らくこの特例に当たる立札・看板の類いと思われる。
衆議院小選挙区の場合、同条第3項により、個人演説会の会場に1選挙区当たり5枚まで立札・看板の類いを掲示でき、同条第1項の規定により、演説会開催中は少なくとも一つは会場前の公衆の見やすい場所に掲示する必要がある。さらに、同条第5項により、残りの立札・看板の類いについては、会場内はもとより、特例として個人演説会の会場外、つまり演説会場の敷地の外でも掲示しておくことが可能とされている。
なお、この場合における立札・看板の類いについては、県選挙管理委員会が交付する個人演説会用と表記した三角形の表示をする必要がある。
20: 【
平松利英委員】
来年予定される県議会議員選挙においても、個人演説会の会場ではない場所でのぼりを設置することができるのか。
21: 【
選挙管理委員会事務局次長】
公職選挙法第164条の2に基づく個人演説会等の会場の掲示の特例については、国政選挙や都道府県知事選挙に限られたものであり、県議会議員の選挙では個人演説会の会場でない場所には設置できない。
なお、県議会議員選挙における個人演説会の開催中に使用できる立札・看板の類いについては、公職選挙法第143条第8項の規定により、個人演説会の会場外に二つまで設置することが可能であるが、あくまで個人演説会の会場の敷地内に設置する必要があると決められている。
22: 【
平松利英委員】
近年の投票率の低下傾向を受けて、先日行われた犬山市長選挙では、投票率向上の取組として、投票済証の持参により、商品の割引が受けられる選挙マルシェが民間団体により実施された。
このような投票率向上に向けた取組について、それが違反に問われないような形で、行政が主導して選挙割のような取組を実施することができるのか。
23: 【
選挙管理委員会事務局次長】
商店街などが投票済証を持参した者に対して商品の値引き等のサービスを行う取組、いわゆる選挙割については、投票率の向上や商店街の活性化等を目的に行われるものである限り、直ちに公職選挙法上の問題となるものではない。
しかし、投票済証を提示した者に対してサービスを行う取組が、特定の候補者の当選を得る目的を持ってなされると認められる場合には、公職選挙法第221条に規定する買収及び利益誘導罪に抵触するおそれがある。また、本来、選挙権は本人の自発的な意思によって行使すべきものであり、選挙割のようにサービスの提供によって選挙人を投票所に誘導することは、公職選挙法の目的に沿ったものとはいえない。
したがって、選挙の管理執行に責任を持って当たるべき立場の選挙管理委員会が選挙割を主導的に行うことは適切でないとされている。
24: 【
平松利英委員】
選挙の執行に責任を持って当たるべき立場の選挙管理委員会が選挙割を主導的に行うことが適切でないのであれば、選挙割の取組に対し、民間団体が実施する上でのルールや指針などをまとめたガイドブックを用意したら良いと思うが、どうか。
25: 【
選挙管理委員会事務局次長】
今後、こうした選挙割の取組が増加することも想定され、何らかのルールが必要となることも考えられるため、そうした声があることは、機会を捉えて総務省に伝えていきたい。
26: 【杉江繁樹委員】
岸田文雄内閣は、デジタル技術の活用により、地域の個性を生かしながら地方を活性化し、持続可能な経済社会を目指すデジタル田園都市国家構想を推進している。その推進には、地方のデジタル実装を進めていくことが喫緊の課題と位置づけている。
このため、デジタルを活用した地域における自主的な取組を財源面から応援するため、昨年度の国の補正予算でデジタル田園都市国家構想推進交付金が創設され、本年度の地方公共団体の取組が交付対象となっている。また、過日に成立した国の本年度補正予算でも、デジタル田園都市国家構想交付金が計上された。
本県並びに県内市町村において、県民の利便性の向上や行政の効率化のためデジタル化・DXを推進しており、国の交付金を活用することでより一層デジタル実装を着実に進めていくことができると考えている。
本年度、デジタル田園都市国家構想推進交付金を活用してどのような事業を行っているのか。
27: 【DX推進室担当課長(DX推進)】
本年度のデジタル田園都市国家構想推進交付金について、本県では3事業が採択されており、7,265万9,000円の交付決定を受けている。
具体的には、公立高校入試の出願手続をオンライン化するウェブ出願システム構築事業、県が保有する行政データを公開し、より多くの人に利用してもらいやすい環境を整備するオープンデータ活用促進に向けたカタログサイト構築事業、医療療育総合センターや障害児者の支援者・家族が情報交換できるクラウド型サービスを構築するスマートホスピタル推進事業の3事業であり、年度内のデジタル実装に向け取り組んでいる。
28: 【杉江繁樹委員】
県内市町村では、本年度のデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用してどのような事業を行っているのか。
29: 【DX推進室担当課長(DX推進)】
本年度のデジタル田園都市国家構想推進交付金について、県内市町村では21市町47事業が採択され、8億1,169万4,000円の交付決定を受けている。
具体的には、家庭ごみ搬入申込みのオンライン化、書かなくてよいスマート窓口の導入、証明書のコンビニ交付、コミュニケーションロボットを活用した高齢者の見守り、地域包括支援センター職員の業務をICT技術を活用して軽減し、創出された時間で高齢者等を支える時間の充実を図るなど、様々な取組が各市町で行われている。
なお、県と市町村を合わせた22団体、50事業、8億8,435万3,000円の交付決定は、いずれも全国第2位である。
県及び県内市町村が、このデジタル田園都市国家構想推進交付金を有効に活用して、意欲的にデジタル化、DXの推進に取り組んでいる表れであると考えている。
30: 【杉江繁樹委員】
今回、国が本年度の補正予算としてデジタル田園都市国家構想交付金を計上したが、今後、交付金の活用に向けてどのように進めていくのか。
31: 【DX推進室担当課長(DX推進)】
今後の交付金の活用について、国の補正予算に盛り込まれたデジタル田園都市国家構想交付金のデジタル実装タイプについては、本年12月7日に国から制度概要が示された。この交付金の対象は来年度の事業となり、今後、示された要件に合致する事業を選定して、国に事前相談を行い、年度内に交付申請を行う予定である。
なお、本年度のデジタル田園都市国家構想推進交付金、地方創生推進交付金、地方創生拠点整備交付金の三つの交付金が、来年度は、今回の国の補正予算分も含め、デジタル田園都市国家構想交付金として位置づけられ、分野横断的に支援が行われるとされている。それぞれのメニューにより対象事業や採択要件も異なるので、事業内容に応じて交付金を有効に活用できるよう、関係部局や国と調整していく。
32: 【杉江繁樹委員】
県全体でデジタル化が進むには、県内市町村における交付金の活用も重要と考える。市町村への支援はどのように行っていくのか。
33: 【DX推進室長】
本年度のデジタル田園都市国家構想推進交付金に当たっては、市町村との窓口や取りまとめの担当は都道府県が担った。
新しい交付金であるので、まずは市町村にしっかりと情報提供を行うことと、国が事前相談という機会を設けたので、市町村の事業計画の熟度が高まるように、この事業計画に対する事前相談を活用するように促した。
その上で、市町村が交付申請を行うまでの間において、事前相談後の国からの指摘事項に係る国と市町村との調整や、国からの計画に対する示唆を踏まえ、より適切な事業計画が作成されるように、必要な助言などを行った。
本年度の国の補正予算で計上された交付金についても、今後、国への事前相談が開始される予定であるので、市町村の事業計画について、県が窓口となり、その熟度が高まり、交付申請にしっかりとつなげていけるように引き続き助言をしていく。
加えて、交付金は、財政面からの市町村支援になるが、この財政面からの支援については、本年度、県の既存の補助制度である元気な愛知の市町村づくり補助金に、市町村のデジタル化やDXを応援するためのDX推進枠を新しく創設したので、来年度も国の交付金と県の補助金を合わせ、引き続き市町村の支援を行っていく。
34: 【杉江繁樹委員】
来年度の交付金活用に向けての手続はこれからであるが、交付金の制度も本年度とは異なる部分があるので、本年度同様、交付金を有効に活用して県としてのデジタル化、DXの推進の取組を着実に進めてほしい。
また、市町村に対して、交付金活用については県が窓口となっているので、今後とも市町村が交付金を活用できるようにしっかり支援をしてほしい。
加えて、県の補助金においてもDX枠を新しく設けたので、その予算を十分に確保し、引き続き県としても市町村に対する財政面からの支援をしっかりするよう要望する。
35: 【林
文夫委員】
自治体や企業が債券を発行する際には、通常、国債の利回りを基準として、発行する団体の信用力に応じたスプレッドを上乗せして利率が決められているが、最近、この地方債市場において、スプレッドが拡大している状況である。
年限10年の満期一括償還の地方債のスプレッドは、本年6月には0.06パーセントであったが、12月2日に条件決定をした名古屋市や京都市の債券では0.29パーセントとなり、これが国債の利回りに上乗せをされた結果、その発行利率が0.554パーセントとなった。
先日の新聞報道では、スプレッドが拡大した要因として、現在日本銀行が10年物の国債の利回りの上限を0.25パーセントに抑え込んでいる状況であるが、日本銀行が現行の金融緩和策をいずれ変更すると投資家が警戒していることがあると聞く。
最近の愛知県債の発行利率はどのような状況か。
36: 【
財務資金室長】
愛知県債の発行利率は国債の利回りにスプレッドを上乗せした利率で決定しているので、海外における金利上昇の影響などによる国債の利回り上昇に加え、地方債のスプレッド拡大の動きを受けて愛知県債の発行利率も上昇傾向にある。
本県では、市場公募で10年の満期一括償還債を毎月発行しており、その発行利率は、昨年度最も低かったのは8月の0.075パーセントであったが、直近の本年12月は0.554パーセントまで上昇している。
37: 【林
文夫委員】
愛知県債の発行利率も上昇傾向にあり、金利が上昇している局面において、どのような工夫をして県債を発行しているのか。
38: 【
財務資金室長】
国内の金利が上昇傾向にある中、県債の発行に当たっては市場環境に即した適正な発行条件にできるよう取組を進めている。
具体的には、発行時期の平準化や発行年限、条件決定方式の多様化を行うとともに、発行時期や償還年限等をあらかじめ特定しない発行枠であるフレックス枠を活用するなど、発行の柔軟化を推進している。
本年度は、このフレックス枠を活用して、本県として初めてその使途を環境改善効果のある事業に限定したグリーンボンドを発行することとした。12月7日にはこのグリーンボンドの発行条件を決定したところ、発行額100億円に対して977.3億円に上る需要が集まり、即日完売した。
39: 【林
文夫委員】
他団体におけるグリーンボンドの発行状況はどうなっているのか。
40: 【
財務資金室長】
グリーンボンドについては、昨年度までに発行を開始した東京都、神奈川県、長野県、三重県、川崎市、福岡市の6団体に加え、本年度は、先月までに静岡県、大阪府、兵庫県、仙台市の4団体が新たに発行した。さらに、今月に本県及び京都市がグリーンボンドを発行するので、年内にグリーンボンドを発行する地方自治体は合わせて12団体となる。
今後、本年度中に高知県、相模原市、大阪市が新たに発行する予定と聞いており、地方債市場においてもグリーンボンドを発行する団体が年々増加している。
41: 【林
文夫委員】
本県のグリーンボンドに対して、どのような投資家から購入の意向が寄せられているのか。また、投資家にとって通常の県債と比べてグリーンボンドを購入することのメリットは何か。
42: 【
財務資金室長】
今回のグリーンボンドについては、本年5月に、5年満期一括償還で100億円程度を発行することを発表した。その後、10月には調達資金の使途などについて説明した発行の枠組みであるフレームワークを策定して、グリーンボンドとしての適合性を示す外部評価も得た上で、幅広い投資家向けの広報、IRに取り組んできた。
その結果、通常の地方債を購入している都市銀行、地方銀行、信用金庫等に加え、地元企業や学校法人など、幅広い業態の投資家から136件に上る購入意向を獲得することができた。
次に、投資家にとってのメリットについては、今回のグリーンボンドの購入を通じて、環境改善効果のある事業を促進したいという声や、持続可能な社会づくりに貢献する姿勢を示したいといった声を聞いた。
43: 【林
文夫委員】
グリーンボンドを発行する側のメリットとして、通常の県債よりも低い利率で発行できるのか。また、グリーンボンドの発行利率は通常の県債と異なるのか。
44: 【
財務資金室長】
グリーンボンドの利回りが通常の県債に比べて低くなる現象は、グリーンとプレミアムという言葉を合わせた造語でグリーニアムと呼ばれているが、2017年10月から本年9月までの地方債における事例では、グリーンボンドと通常の地方債とでは発行利率の差異は生じていなかった。
しかし、本年10月5日に条件決定した三重県のグリーンボンドにおいて、同じタイミングで発行した通常の県債よりも0.01パーセント低い金利で条件決定をして、地方債において初めてグリーニアムが生じた。
本県のグリーンボンドに先立ち、12月2日に条件決定をした東京都等の通常の5年の地方債では、国債の利回りに上乗せするスプレッドが0.12パーセントであったが、本県のグリーンボンドにおいては旺盛な投資家需要を背景として、通常の5年地方債よりも0.01パーセント低い0.11パーセントのスプレッドとなり、グリーニアムが生じて、発行利率は0.249パーセントで決定した。
45: 【林
文夫委員】
本年に入り、アメリカやヨーロッパにおける金利引上げの影響などによって日本の国債の利回りが上昇していること、またそれに加え、最近では地方債のスプレッドが拡充するなど、地方債市場を取り巻く環境は非常に厳しい状況になっていると思う。
本県初のグリーンボンドは、通常の県債よりも低い利率で発行が決まり、この厳しい市場環境の中にあっても工夫が生かされる前向きな取組ではないかと思う。
これからも、県債の支払いに係る将来の負担を少しでも軽くするために、金融等に関する専門的な知識を深め、市場環境に即した適正な条件で県債を発行できるよう取り組むことを要望するとともに、そのためには地域経済の動向や、金融情勢の変動に関する情報収集にたけた国や関係機関との連携をしっかりと取りながら、地域経済の分析また金融市場に精通した専門性を有する人材の育成にも前向きに取り組んでほしい。
46: 【近藤裕人委員】
県から市町村等への派遣職員の人数及び市町村の数はどうなっているか。また、市町村等から県への実務研修生の人数と受け入れている関係市町村の数を伺う。
47: 【市町村課担当課長(調整・選挙)】
派遣職員については、愛知県職員派遣
要綱により、市町村長などの求めに応じて県職員を派遣し、県及び市町村等の事務処理の能率化、合理化に資することを目的としている。現在は84人の県職員を32市14町村1広域連合の合計47団体に派遣している。
一方、市町村等からの実務研修生については、愛知県市町村等職員実務研修生設置
要綱により、市町村等の職員が適切かつ能率的に事務を処理する上で必要な知識及び技能を習得させることを目的としており、現在は142人の実務研修生を34市12町村3一部事務組合の合計49団体から受け入れている。
48: 【近藤裕人委員】
市町村としては、派遣に来てもらえると大変助かると聞く。特に技術職の派遣を希望する自治体が多いようだが、県は技術職員を派遣する余裕がないと聞く。県の発展のためには、市町村の発展も必要であるため、今後も派遣してほしい。
県職員の派遣
要綱では、県及び市町村等の事務処理の能率化、合理化に資することを目的としているが、実際に派遣するに当たって、どのような役割を担ってほしいと思っているのか。また、市町村から実務研修生を受け入れることに対してどのようなことを期待しているのか。
49: 【市町村課担当課長(調整・選挙)】
市町村等が派遣職員に期待する役割については、市町村によって様々であるが、行政職の主なものとしては、行財政運営や総合計画の策定、条例等の例規審査に対する指導助言などである。
技術職の場合は、主に各地域における都市計画事業全般、道路整備や下水道整備に対する技術指導などである。
また、市町村における様々な諸問題の解決に向け、県と市町村とのパイプ役、調整役としての活動をするとともに、必要に応じて情報収集などの役割を担う場合もある。
一方、実務研修生については、業務に必要な知識及び技能を習得させることを目的としており、これに加え、派遣終了後も県とのパイプ役としての役割を担うほか、他市町村からの情報収集、派遣期間中のネットワークを活用して横のネットワークづくりや、他の市町村からの情報収集も期待されている。そのためには、実務研修生と一緒に仕事をする県職員にとっても、派遣されている実務研修生との関係を密にすることが重要であると考えている。
このようなことを踏まえ、派遣期間が終了し、市町村に戻った後においても気軽に相談できるような顔と顔が見える体制をさらに強化していくことが重要であると考えている。
50: 【近藤裕人委員】
実務研修生については、若い頃に実務研修生として働いていたことから、横で働いていた県職員が高いポジションに就いても、当時一緒に働いていたことで気軽に話すことができる。そのため、ざっくばらんな助言を受けることができたという話も聞く。派遣職員についても同様に、議会等にも出席することで地域の実情を知り、将来の対応に違いがでると聞いている。
そのようなことに意義があると捉えているので、今後も継続し、人数もできる限り多くしてほしい。
県からの派遣職員については、市町村から様々なニーズがあると思うが、どのように派遣職員を選定しているのか。
51: 【市町村課担当課長(調整・選挙)】
要請のあった市町村等の組織職制や役割を確認の上、関係局において、要請内容に見合った職級の派遣職員を選任している。
また、市町村の行財政に携わる立場の職員については、できるだけ市町村課において業務経験がある職員の中から選任するように努めている。
52: 【近藤裕人委員】
県としては、派遣職員にどのような効果を期待しているのか。
53: 【市町村課担当課長(調整・選挙)】
派遣職員が住民に最も身近な市町村の現場を体験し、課題を解決することで派遣職員自らの成長につなげる大変重要な制度であると認識している。また、派遣された職員については、市町村で実務を経験しながら市町村職員との交流を深めることにより、顔の見える関係をつくることも重要である。県庁組織内に戻った後も継続的に市町村職員と情報交換を行って、県関係部局への橋渡し役となる職員も多くいると認識している。
派遣職員が各市町村の課題解決の一助となっていることで市町村の幹部職員からも非常に高い評価をもらっており、継続して派遣要望するケースが多くある。
54: 【近藤裕人委員】
あいち行革プラン2020の取組において、県と市町村との連携をさらに進めるため、県民事務所について市町村に係る情報収集、連絡調整、相談等の窓口としての機能充実として取り組むと記載してあるが、県の派遣職員や市町村の実務研修生の役割を踏まえて、派遣職員や実務研修生のことも取組に加えるべきであると考えるが、今後県としてどのように対応するのか。
55: 【市町村課長】
あいち行革プラン2020後半期の取組に掲げられた内容は、市町村と連携を深めるための県側の相談窓口の充実、機能の充実である。派遣職員は、言わば現地駐在員のような存在であり、市町村を内側から支えるものとして連携の一助になると認識をしている。
県と市町村とが良好な関係の下で連携がより深まるように、市町村から派遣要請があった場合には適切な人材を派遣するなど、今後も的確に対応していきたい。
また、派遣職員としての役割は、一義的には派遣期間をもって終了するが、市町村にとっては、県に戻ってからもパイプ役としての役割を期待していると考えられる。そのためには、派遣職員が派遣された市町村の顔となって、依頼や相談事項等が生じた場合には、担当業務でないと断るのではなく、実例を調べたり、県の窓口を紹介するなどして、日頃から関係を保つことも必要ではないかと考えている。
そのためには、派遣職員が期間満了後もそのような認識を持って接することができるように、個々の派遣職員に十分に認識させるとともに、例えば市町村の行事に積極的に参加するなど、常日頃からできる限り市町村職員と近い距離を保っておくことが重要であると考えている。
市町村課としては、今後も派遣職員制度、実務研修生制度が県と市町村との良好な関係の下で運用されるよう努めていく。
56: 【近藤裕人委員】
派遣職員及び実務研修生は、それぞれ期間が終わっても関係は続いていくと思う。昨今のコロナ禍で懇親会等がなかなかできず、気心の知れた関係を結ぶことが難しいと思うが、これまでどおり派遣職員数を維持してほしい。
人口が少ない市町村は、上位団体になかなかつながらないため、寂れてしまう。そういったところにもしっかりと目を向けられるように、県民事務所あるいは県職員の派遣に気を遣ってほしい。
どの市町村も取り残されないように全体をボトムアップして、県全体が繁栄していくことができる組織づくりを徹底してほしい。
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